ホフステッド理論というのをご存知でしょうか?
オランダ人社会心理学者のヘールト・ホフステッドは、1967年から1973年にかけて、世界中のIBMの従業員を対象として文化多様性の仕事への影響について調査しました。

その結果、仕事に関連する価値観や態度は、国民文化の5つの次元で説明できると結論付けました。
これを国民文化の5次元といい、つぎの項目で構成されています。

  1. 権力の格差
  2. 不確実性の回避
  3. 個人主義ー集団主義
  4. 男らしさー女らしさ
  5. 長期志向ー短期志向

グローバル化の進展に伴い、国際展開し現地従業員をマネジメントしなければならない場面が増えています。
また、日本国内においても、外国人社員を採用することが多くなってきました。

このような背景から、多様な文化を持つ従業員を管理するための手法として、ホフステッドの国民文化5次元に注目が集まっています。

また、この手法は自社の従業員管理だけではなく、オフショア開発の委託先管理にも活用しようとする動きがあります。

私も少しでもオフショア開発の役に立つならと思い、ちょっと調べてみたのですが、納得のいかない内容でしたl

国民文化5次元の各国の評価

日本、米国と、日本のオフショア開発の主な委託先である中国、インド、ベトナムについて、国民文化5次元について評価したのが以下の表です。

権力の格差 不確実性の
回避
個人主義ー
集団主義
男らしさー
女らしさ
長期志向ー
短期志向
日本 54 92 46 95 80
中国 80 30 20 66 118
米国 40 46 91 62 29
インド 77 40 48 56 61
ベトナム 70 40 30 20 80

各スコアは0点−125点の範囲で採点されています。
評価の仕方は以下の通りです。

  1. 権力格差 ポイントが高いほど格差が大きい。
  2. 不確実性の回避 ポイントが高いほど、リスクを避けたがる。
  3. 個人主義ー集団主義 ポイントが高いほど、個人主義の傾向が強い。
  4. 男らしさー女らしさ ポイントが高いほど、男女格差が大きい。
  5. 長期志向ー短期志向 ポイントが高いほど、長期志向の傾向が強い。

中国人・ベトナム人は集団主義?

この表を見て違和感を持たれた方は多いのではないでしょうか。

まず、「個人主義ー集団主義」ですが、日本よりも中国・ベトナムの方が集団主義の志向が強いことになっています。
政治レベルで見るとそうかもしれないと思いますが、民間レベルで見るとまったく納得が行きません。

自分のことを最優先する中国人やベトナム人が、社畜と呼ばれながら黙々と働く日本人よりも個人主義だとは到底思えません。

ただし、集団を家族・親戚と捉えると納得できます。

中国人は超長期志向?

「長期志向ー短期志向」で、中国が飛び抜けて長期志向で、ベトナムが日本と同程度に長期志向であるというのも納得できません。

私が読んだ本には、中華5千年の歴史で物を考えているからというような解説がありましたが、そんな中国人は見たことがありません。
中国人もベトナム人も今日が良ければ良いという超短期志向の人が多い印象です。

この調査はアンケートで行ったのですが、中国人・ベトナム人ともに面子や建前を重んじます。
ですから、実際の行動とは異なる評価となった可能性があると思います。

考え方を拝借する程度が良い活用法

ダイバーシティー・マネジメントが注目を集めています。
それを構成する一つの要素としてホフステッドの理論が持ち出されることが多いのですが、調査が1960年代から1970年代に行われたものなので、当時のスコアは当てになりません。
考え方を拝借する程度が一番良い活用法だと思います。