要領の悪いテスト技術者

「このテスト項目が抜けているよ。」
「限界値境界値テストは、境界値+3までやらなくてはダメでしょ。」

あるプロジェクトをオフショア開発に発注し、現地でテスト仕様書の確認を行っていたのですが、3度目のレビューにも関わらず指摘がなくならない技術者がいました。
彼女はテストを専門に担当する技術者で、3人割り当てられたうちの一人でした。

テスト方針は決まっており、機能の種類ごとにどのようなテストをするかをまとめたルールを渡していました。
それに基づいてきちんとしたテスト仕様書を作れるかどうかを確認するために、サンプルとして作ってもらったテスト仕様書をレビューしていました。

他の2人は2度目のレビューで、ほぼ完璧なテスト仕様書を作成したのですが、彼女はテスト対象機能をどのルールに当てはめればよいかを判断するのがへたで、それが指摘がなくならない原因となっていました。

あまりの要領の悪さに、担当者を変更するよう申し入れようかと思い、同行していた上司に相談しました。
すると上司は「彼女は一生懸命やっているから変えるのはかわいそうだよ。それにとても真面目だからテストには向いているんじゃないか。」と言われ、変更するのはやめることにしました。

そして、それから2、3回レビューして、やっと彼女のテスト仕様書に合格を出すことができました。

テスト漏れによる不良が多発

作業終盤、先行して納品してもらったプログラムを日本側で確認していると、基準値の2倍以上の不良を検出しました。
私がいた会社では、不良が多発すると以下のどれに該当するかを集計し、原因を特定します。
①設計不良(設計書の記述通りだが動作がおかしい)
②設計書記載漏れ(設計書に書いていない)
③テスト項目設定漏れ(テスト仕様書に書かれていない)
④テスト確認不足(テストしたが、誤ったテスト結果を見逃した)

今回は明らかに、③テスト項目設定漏れに該当する不良の比率が高いことが分かりました。
さらに不良をテスト技術者別に集計すると、直ぐにルールを覚えてしまった2人のテスト技術者で不良が発生していることが分かりました。

TV会議でテスト技術者に、テスト項目設定漏れを起こした原因を聞くと、彼らはこう答えました。
「同じテストを別の箇所で行っているから必要ないと考え省いた。」
なんと彼らは、勝手にルールを無視していたのです。

頭が良く要領のいい技術者は、勝手な判断で決められた手順を無視することがあるので要注意です。
それに引き換え、当初要領が悪いと思っていた技術者は、忠実に手順を守っていました。
そのおかげで、残存不良はとても少なかったのです。

彼女は設計やプログラミンには向いていないのかもしれませんが、テストや検査では力を発揮するタイプだったのです。
すぐに担当を変更しようとしたことをおおいに反省しました。