鈍感力
出世していくのはどんなタイプの人でしょうか。
頭がキレる人、人付き合いがうまい人、ひたすら努力する人などを思い浮かべるかもしれません。
当然、そのような人たちは出世していきますが、意外な人も出世するものです。
その意外なタイプとは、鈍感な人たちです。
小泉元首相の答弁
2004年に当時内閣総理大臣だった小泉純一郎氏が、衆議院決算行政監視委員会において、勤務実態のない会社から給与を受け取っていたことを追求されたときに「人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろ」と答えて物議をかもしました。
小泉元首相は、話をすり替えたり言及しなければならいものにおいて遠まわしに言い逃れることが度々あり、その都度問題になっていましたが、本人はまったく気にしているそぶりは見せませんでした。
敏感な人は、相手の言っていることを完全に理解するため、真正面から答えるにしても逃げるにしても、相手の質問の枠組みの中で答えようとします。
ところが、鈍感な人は相手が言っていることを理解していないので、質問者が予想もしなかった答えを返します。
質問者は、自分の質問の趣旨を再度説明して正しい答えを求めますが、何度やり取りを繰り返しても質問の趣旨とは別の回答が返ってくるので最後にはあきらめてしまうのです。
噛み合わない議論
同じようなことが社内でもありました。
「あの人はできる」と評判のプロジェクトマネージャが出席する会議に出て、幹部とプロジェクトマネージャのやり取りを聞いていたのですが、話がまったく噛み合いません。
「いつまでに解決するのか」と幹部に聞かれたときに、プロジェクトマネージャは延々と5分以上話したのにまったく質問には答えていません。
幹部が「だから、いつまでに解決するんだ。」と聞いても、プロジェクトマネージャは「ですから・・・」とまた5分以上まったく答えになっていないことを話します。
段々、幹部がイライラするのが分かるのですが、プロジェクトマネージャはまったく気にしていません。
そのうち、幹部があきらめて質問を止めてしまいました。
このプロジェクトマネージャと同じようなタイプで出世している人は他にも何人かいました。
鈍感な人が出世するための条件
ただ、話が噛み合わないだけでは出世することはできません。
出世するための条件の一つめは、堂々としていることです。
議論がかみ合わず幹部が怒り出したときに、普通のプロジェクトマネージャは、その雰囲気を察して黙ってしまうか、しどろもどろになってしまいます。
ところが、出世するプロジェクトマネージャは、あくまで堂々としているのです。
条件の二つめは、結果を出すことです。
プロジェクトが失敗すれば、出世どころではありませんから。
でも鈍感な人は、あれこれ考えずに物事をシンプルにとらえてひたする実行する人が多いので、プロジェクトの成功率は以外と高いようです。