お客様とのやり取りを議事録に残すのは面倒ですが、とても大切なことです。
ある仕様に決定した理由は、設計書には残りません。
後から理由を知るためには、議事録に経緯を残しておく必要があります。

元号変更の話をするのは非国民

私は、昭和61年に社会人になってすぐにある官公庁のシステムの新規構築プロジェクトに配属されました。
そこで、日付の形式を和暦にするか西暦にするかが議題になったことがありました。

当然、エンジニアとしては西暦をお勧めしました。
当時は、まだ江戸時代に生まれた方もご存命で、江戸時代の元号まで管理したくなかったということもありました。
しかし、お客様はどうしても首を縦に振りません。

私  「いずれ元号が変わることになりますが、西暦であれば影響範囲を極小化できます。」
お客様「それは今上天皇陛下が崩御されるということか。」
私  「そうですね。陛下はかなりご高齢ですし。」
お客様「この非国民めが。」

非国民と呼ばれたのは、このときが最初で最後です。
お客様にはどうしても了解していただけず、日付はすべて和暦で管理することになりました。
その翌年にシステムは無事サービスインしました。

残っていた議事録

稼働から1年経った昭和63年の初めにお客様から呼び出されました。
昭和天皇の容態が悪化した頃です。

お客様「このシステムの日付の内部形式は、もちろん西暦だろうね。」
私  「いいえ、お客様のご要望により和暦となっております。」
お客様「どうして西暦を進めなかったんだ。そうするのがエンジニアの責務だろ。」

前のお客様は異動されており、今のお客様は和暦に決まった経緯をご存知ありません。

私  「当然、西暦をお勧めしたのですが、どうしても和暦が良いと仰ったので和暦になっております。」
お客様「証拠はあるのか?」
私  「議事録が残っています。」

さすがに「非国民め」と呼ばれたことは書いていませんが、その他のやり取りは議事録に残し、当時のお客様の承認印をいただいていました。

議事録をお見せすることで、どうにか納得していただき、元号変更は有償で対応することができました。
もし、議事録が残っていなかったらと思うとぞっとします。