トラブル発生時はすぐに現場に駆けつけるべきか(後編)
入社時の上司の教えを守って、私はトラブルが発生すると直ぐに現場に駆けつけていました。
大概の場合は良い結果につながるのですが、逆につらい立場に立たされたときもあります。
トラブル発生連絡
その日は途中までは、とても穏やかな日でした。
プロジェクトは順調で急いでやらなければならないタスクもなく、昼ごはんを食べた後、のんびりと仕事をしていました。
ところが、突然お客様から電話が掛かってきました。
お客様「バッチプログラムが異常終了したんだけど」
私 「承知しました。すぐにそちらに伺います。ログリストを見せて頂けますか?」
お客様「用意しておきます。」
まずいことにトラブルが発生したのは、一括請負で協力会社に発注したサブシステムで、社内にはプログラムを解析できる人間がいませんでした。
そこで、協力会社に電話して、担当者に弊社まで来てもらうことにしたのですが、運悪く担当者が出張中で2、3時間掛かるということでした。
そこで、私がお客様から情報を集めて持ち帰ることにし、私はお客様先に向かいました。
帰らせてもらえない
お客様の事務所に着くと、すぐにログリストを見せてもらいました。
異常終了の直接原因は、データ例外で、本来数字だけを設定すべき変数に文字などを設定した場合に起こるエラーです。
エラー箇所もログリストに出ているので対策は簡単そうです。
今日中に再実行が完了すれば業務への影響もないとのことで、何とか間に合いそうです。
「では、早速頂いた情報を持ち帰って対策を進めます。」と言ってお客様先から帰ろうとしたときのことでした。
お客様の表情が一変して「困るよ。解決するまでここにいてよ。」と言われました。
私 「申し訳ありませんが、頂いたリストを担当者に見せなければならないので戻らせていただけませんか。」
お客様「いや、解決するまでは帰らせるわけにはいかない。電話でもFAXでも使っていいから。」
仕方がないので自社に電話しましたが、担当者はまだ到着していませんでした。
しばらくするとお客様が、ソースリストを持って来ました。
お客様「ソースリストに修正内容を朱書きしてください。デプロイは運用担当にやらせますから。」
でも、私はそのプログラムを見たことがありません。
とても修正内容を朱書きすることなどできそうにもありません。
しかも、いきなり本番ですから絶対にミスは許されません。
ソースリストを眺めるふりをしながら自社に何度も電話しましたが、担当者はなかなか現れません。
30分ほど経ったところで、あきらめてソースリストを自力で解析することにしました。
すると何となく修正内容が分かってきました。
でも100%の自信は持てません。
とりあえず、朱書きしてお客様に渡しました。
あとは一刻も早く自社に戻って、朱書きの内容を担当者に確認してもらい、もし間違えていれば再修正を行うしかありません。
私 「それでは自社に戻らせてもらいます。」
お客様「まだダメだよ。実行結果の確認が終わるまで座っていて。」
私は観念して作業机に座って処理が終わるのを待ちました。
4時間後に処理が無事に終わって、やっと解放されました。
待っている間は、もし再度トラブルが起きたらと思うと本当に身が縮み上がる思いでした。
この後、トラブルの連絡を受けて自社を出る前に、このトラブルのことを思い出して一瞬だけ躊躇するようになってしまいました。