昨年の12月から、私はベトナム・ホーチミン市に出張で来ています。
先日、私の滞在しているマンションの一帯が停電しました。
この地域に電気を供給している変圧器が故障したらしく、その修理のためだそうです。

10年くらい前、私が初めて来た頃のベトナムでは停電は頻繁にありました。E-TOWNというIT企業が集まるオフィスビルにさえバックアップの電源装置がなかったらしく、よく停電が発生していました。作業内容が一瞬で消えてしまったプログラマたちが叫んでいる光景をよく目にしたものです。

停電も近頃はあまり起きなくなりました。しかも、今回はいきなり発生するものではなく、予め予告されてのものです。ホーチミンのインフラの状況は随分改善されていると感じました。

予定の時間を過ぎても工事は終わらない

変圧器の修理は、朝8時から始まり、午後2時には完了する予定でした。
お昼に冷房が使えないのは、少し不便ですが仕方ありません。

私の家の台所は、すべて電化されているので、停電だと料理も作れません。そこで外に食べに行くことにしました。家に帰っても暑いだけなので、ゆっくり食事をして午後2時過ぎに戻ってきましたが、未だ電気は来ていません。

その後もいくら待っても工事は終わらず、私はクーラーのない暑い部屋でイライラしながら本を読んでいました。
ネットも使えないので、本を読むくらいしかやることがありません。
遅れているなりに見通しが分かれば未だ良いのですが、まったく情報がありません。そのことがイライラに拍車を掛けていました。

午後7時になっても工事は終わらず、段々冷蔵庫の中のものが心配になってきました。傷みやすいものは冷凍庫に移しておいたのですが、氷が溶け始めています。しょうがないので、食べられるものは食べてしまおうと仕分けていたら、突然、電気が点きました。

リスクを代わりに管理することが必要

工事は、5時間遅れで終わりました。日本で同じことが起きたら、電力会社に苦情が殺到するでしょう。
「何て見通しが甘いんだ」と腹が立ちました。
その予測精度の悪さが、ITプロジェクトでも進捗の遅れに繋がっているのではないかと思いました。
しかし、冷静に考えると日本では1時間しか掛からない作業を、3時間の予定を組んでアナウンスしているだけなのでしょう。逆にベトナムでは、余裕を考えずに正直な見通しを言っているだけかもしれません。
リスクの取り方がベトナムと日本の違いかもしれません。

工数や作業期間を見積もる際、日本では担当者、リーダ、PMなどが別々にリスクを見込んでいることがよくあります。
それぞれは、適正なリスクなのでしょうが、みんなのリスクが足し込まれると、過大な工数や作業期間になってしまいます。

それに対してベトナム人はリスクのことはあまり考えていません。そのため、担当者、リーダ、PMが個別にリスクを見込んでしまうこともありません。

日本で、担当者やリーダが見込んだリスクを削るのは簡単ではありません。
逆にリスクが見込まれていない見積りにリスク分を上乗せして管理するのは簡単です。一見、リスク管理の手間が増えてしまうように見えますが、ベトナムの方が管理はしやすいのです。

ところで、停電が長引いている間、私はイライラしていたのですが、周りの人は誰も怒っていませんでした。こういうものだしょうがないとあきらめているようでした。

プロジェクトが遅れるのは見過ごすことはできませんが、他のことはベトナム人を見習わなくてはいけないと思いました。