オフショア開発での進捗管理のコツ
気が利いたしっかりしたPMやブリッジSEがいれば、発注側が進捗管理のことなんて気にしなくても、遅れ自体そうそう発生しませんし、もし発生したとしても上がってきた対策や回復見通しをチェックするだけで済みます。
しかし、いつもそういうPMに当たるとは限りません。
不幸にしてダメなPMに当たったときのために、オフショア開発での進捗管理をうまくやるコツについて書きたいと思います。
なお、ここで書いている施策を実施するためには、契約段階で合意をとっておいた方が円滑に進みます。
進捗管理は毎日やるのが基本
個人的には、進捗管理というのは毎日やるべきだと思います。日々状況をチェックして、遅れを発見したら直ぐに手を打つのが基本です。傷が小さいうちに手当てしておけば、大きな問題に発展することはあまりありません。
進捗遅延で大きなトラブルに発展したプロジェクトは、ほとんどPMが杜撰な管理しかしておらず、問題が発覚する直前までPM自身も遅れを認識していないことが多いように思います。もし、日々進捗を管理していれば、このようなプロジェクトでのトラブルは発生しなかったか、大分軽いものになったでしょう。
オフショア開発でも、委託先のPMに毎日進捗をチェックし、対策するという習慣をつけさせるべきです。
しかし、夏休みの宿題と同じで、日々やった方が良いと思っても、なかなかその通りに実行できないのが人間です。
ですから、最初のうちは発注側も日々確認して、コメントしてあげてください。
そうすると委託先のPMは緊張感を持って管理を行ってくれます。発注側が見ているかいないかは案外伝わるもので、見ていないことが分かるとPMも手を抜こうとします。
進捗報告書の様式の改善ポイント
日々管理するためには、進捗報告書は以下の工夫をしてください。
- 遅延作業以外は、数字を埋めるだけにする
- 遅延箇所が赤く表示されるなど、問題がすぐ分かるようにする
- 全体進捗の予実績が集計されたグラフ等が自動的に作成されるとなお良い
また、報告書は担当者に数字を埋めさせるように指導してください。
PMが記入する手順だとPMの負担が重くなり、対策まで手が回らなくなりがちです。
進捗報告書をチェックするポイント
報告書をチェックするポイントはつぎの4つです。
- 進み遅れの日数が妥当か(成果物数量ベースで算出されているか)
- 遅れの理由が書かれているか
- 遅れに対する対策が書かれているか
- 回復見通し(進捗を回復する予定日)が書かれているか
面倒ですが、最初はこれが書かれていないときには、しつこく指摘しなければなりません。
1つ目の、進み遅れの日数の妥当性は、なぜこんなチェックが必要かと思われるかもしれません。しかし、これをいい加減に報告してくるPMはとても多いです。必ず成果物の数量に基づいて記入しているかチェックしてください。
どうみても3日分の遅れがあるのに1日遅れと記入されています。PMに理由を聞くと「1日で取り戻せるから1日遅れです」と答えました。そのような場合は回復見通しに書き、進み遅れの日数は成果物数量ベースで書くよう指導しました。
その他の報告のチェックのポイントは以下の通りです。
- 対策が残業、休日出勤というのがよくあります。その場合、その担当者が直近でどのくらい残業していたか確認してください。当然ですが、残業を相当やっている場合は、効果はありません。
- 回復見通しを先の日付(例えば納品日)にしてくるPMもよくいますが、極力前倒ししてもらってください。
それが無理な場合、途中での回復状況をよく確認してください。 - 何日か見て、遅れが回復できないのに対策が同じ作業項目があれば指摘指摘してください。
- 遅れが拡大した場合、または回復不能と判断したら、PMの上位にエスカレーションしてください。
最初は嫌がりますし、報告が遅れることも頻繁にありますが、根気よく指導すれば習慣化していきます。
同じ会社に発注する場合でも、PMが変わったら暫くは毎日見た方が良いです。