オフショア開発プロジェクトでの現地派遣要員の人選

オフショア開発の規模がある程度大きいと、どうしても日本から現地に窓口となる要員を派遣しなければなりません。しかし要員の選定は意外と難しく、いつも悩んでいました。

まずスキル面ですが、ある程度の力がないと役に立ちません。
業務仕様はかなり把握しているか、質問の意図を正しく理解して、日本に橋渡し出来るレベルが必要です。
要求仕様の実現が技術的に困難な場合や少し変えるだけで規模を大幅に削減できる場合があり、仕様の変更を日本と調整することも必要になります。技術的にも、プロジェクトで使用するフレームワークや共通ライブラリの質問に答えられなければなりません。しかし、そんな技術者はプロジェクトに幾人もいません。

また、外国人とのコミュニケーションは忍耐を要します。
なかなか、こちらの意図を理解してくれず、ストレスが溜まり、ときには声を荒げたくなります。それでも人前で怒ると逆恨みされたり、言うことを聞いてくれなくなったりするので、じっと我慢してニコニコ笑いながら根気強く説明できる人材でなければなりません。

さらに外国人ばかりのオフィスに日本人が一人でいると結構寂しいものです。最初のうちは海外にいるという興奮と委託先社員の気遣いで寂しさは感じません。しかし、徐々に慣れてくると寂しくなってきます。それに耐えることができる人でなければなりません。そうすると委託先に過度に当たったり、逆に弱気になって何も言えなくなってしまう人がいます。
相手と仲良くしつつも日本側の意向を受けて言うべきことを言える人材が必要です。

こんなに条件が厳しいにも関わらず一番適した人材は、なるべく送りたくないのが本音でした。一番の人材は、日本でもキーマンだからです。日本とオフショア先のバランスをとって最適な人を選ばなければなりません。

いろいろな条件を考慮してやっと決めても今度は本人からクレームが来ます。
「一人で行くのは心細い。」
「食べ物が口に合わない。」
「週刊漫画が読めない。TVが見れない。」などなど

タダで海外に行けるから喜んでもらえるかと思ったら全然違っていました。「結構楽しいよ。」と優しく言ったり、「一応業務命令だからね。」と脅したりして何とか行ってもらっていました。

そういうわけで、いつもオフショア開発の委託先に派遣する要員の選定には苦労していました。