ベトナムでは、まだ著作権に関しては非常にルーズで、街にはいろいろな偽物があふれています。
それは書籍に関しても同様です。

テスト技法の本

ベトナムのオフショア開発先に出張で訪れていたときのことです。
そのとき、英語で書かれたテスト技法の本を持っていって、ひまなときに読んでいました。

打ち合わせの合間の時間にその本を読んでいると、一人のテスター(テスト専門の技術者)が近寄ってきて「その本を貸してください」と言いました。
読みかけでしたが、オフショア開発先の技術力が向上するのはこちらとしても歓迎です。
ただ、500ページ以上ある本で読むのに相当の時間が掛かりそうです。
私の出張期間は1週間だったので帰るまでに返してもらえるかが心配です。

私   「いつまで貸してほしいの?」
テスター「3日くらいです。」
私   「かなり厚い本だけど、3日で読み終わりますか?」
テスター「大丈夫。コピーするから」

専門の業者がいて、本を渡せば3万ドン(150円)でコピーしてくれるそうです。
帰るまでに間に合いそうだったので、本を貸すことにしました。

コピーの出来栄え

3日後、テスターは約束通り本を返してくれました。
興味があったのでコピーした本を見せてもらったら、その出来栄えに驚きました。

ほぼ、本物と同じような本だったのです。
表紙はカラーコピーできちんと製本もされていました。

本物に比べると若干色がくすんでいるのと、光沢がやや足りない感じはしましたが、コピー本だけを見せられたらこれが偽物だとは気づかないくらいの質の高さです。元の本がアメリカのペーパーバックだったので、紙質はオリジナルよりも良くなっていました。

そういえば、ベトナムの警察が街の本屋を調べたところ、相当数の偽物が発見されたというニュースを見ました。
この技術力と価格であれば納得です。

ベトナムでは、IT技術者が多い割にはシステム開発の本があまり出版されていません。それで、日本の本をベトナム語に翻訳して売れば儲かるかもなどと考えたことがありましたが、勘違いであることが分かりました。
そんな本を出版できたとしてもオリジナルは全然売れそうにありません。

でも、このような状況が続くと技術書の書き手が現れないので、なかなか技術力が向上していかないのではないかと心配です。