前の会社にいたとき、インドのオフショア開発の会社を評価するように指示を受けたことがあります。
NHKの特集等を見て、インド人はとても優秀という印象を持っていました。そんなインド人と一度仕事がしたかったので直ぐに引き受けました。。

その会社は、教育関係で有名な会社でオフショア開発もやっているとのことでした。日本法人の人に来てもらって説明を受けると、何と15,000人いるのに小規模だから機敏だと言っていました。インドのIT会社では小規模らしいです。

評価を開始、でも違和感が・・・

発注する案件は2つ用意しました。
ひとつめは、テスト自動化に関する研究開発案件、2つめは、ベトナムのオフショア開発の新規委託先の選定に使ったWebシステムの開発プロジェクトです。

最初におかしいと感じたのは、研究開発案件の方でした。
発注に向けて具体的な作業計画をTV会議で詰めていたのですが、何回会議をやっても計画は出てきません。
出てくるのは、テスト自動化に関する製品の紹介ばかりでした。そもそも新しい方式を研究するためのものでしたし、紹介される製品自体、こちらの方向とまったく関係ないものばかりです。
それで「具体的な計画を出してくれとお願いしている。製品の紹介をしてくれとは頼んでいない。」というと、相手は「OK、OK」というのですが、次の会議も同じです。

私は、なぜこんなに話が噛み合わないのかとても悩みました。
同じ会社のインド人に話を聞いたら「インド人は、人に言われたことをやるのは低レベルの人と考えている。高いレベルの人は相手の言っていないことをやる。」と言われました。
それだと一緒に仕事はできません。

でも、その人と話しているうち、分かってきました。彼は、あまりこちらの話を聞いていないのです。もしかすると委託先の人たちも同じではないかと。そういえば、冒険家の高野秀行さんは「インドから西は人の話を聞かない」と著書のなかで言っていました。

結局「これ以上計画が出てこないのなら、発注を止める」と言ったら、直ぐに出てきました。

現地での説明は順調に完了

Webシステムの開発案件の内容を説明するために、開発チームがいるバンガロールに行きました。
バンガロールは、デリーと比べると街は綺麗で、気候も涼しく非常に快適でした。

日本語コミュニケータは一人しかいないうえに先週雇われたばかりだというのです。レベルも低く、日常会話がやっとという状態です。おそらく、この会社にとって日本向けオフショア開発は初めてではないかと思われます。コミュニケーション面は相当苦労しそうです。

開発リーダと会うと既に試作品を作っているというのです。
英語版で、仕様はほとんど実装されていないし、こちらが指定したフレームワークの使い方とは違いましたが、前向きな姿勢は評価できます。

こうして2日間掛けてプロジェクトの詳細を説明してきました。

やはりWebシステムの開発案件もグダグダに

帰国して最初の進捗報告日が来ました。
しかし、報告書が届きません。次の日になっても届かないので、催促のメールを送りました。
すると「報告書の書き方にわからないところがある。もう少し待って欲しい。」と返信がきました。
「具体的な箇所が分かれば、書き方を教えるよ。」と送っても、なしのつぶてです。
幾度かフォローしましたが、結局その週は報告書が届きませんでした。

信じられないことに翌週も翌々週も進捗報告書が届きません。あまりやりたくなかったのですが、相手の会社の幹部に状況を伝えるしかありません。すると日本法人のトップが来社し、直ぐに提出させると約束しました。
しかし、進捗報告書が届いたのはそれから3日後でした。もう1ヶ月の工期が終わりかけていました。
しかも、状況を確認すると、ほとんど進んでいません。結局、納期は1ヶ月近く遅延しました。

出来上がったシステムの受入テストを行ったら、半分も叩かないうちに基準の10倍の不良を摘出し、そこでテストを打ち切りました。

当然、不採用です。とても現場の人に発注を進めることはできません。

私のインド・オフショア開発は、とても苦い思い出になりました。とにかくキャラが濃い人ばかりで、7画面しかない小規模プロジェクトだったのですが、心底疲れはてました。
しばらくの間、TVでインドの風景が流れたり、インド料理屋の前を通るだけでも思い出して陰鬱になったものです。
私の巡り合わせが悪かっただけかもしれません。また、インドは合う人と合わない人がはっきりと分かれる国だと言います。